織りや染めの美しさを表現しきれないもどかしさを感じるときがあります。
あの作家さんならどう表現するのだろうか、あの友人ならどう捉えるだろうか。そういうことを考えながら自分の語彙を手繰り寄せていくのですが適当な表現も出てこないのです。
自然の風景にある色のグラデーションのように、なんとも言えない色や佇まいをどうお伝えしようか。それもパッと見ただけでは分からない、じっくり向き合うことで糸の色、染めの色の繊細さに気がつくこともあります。
この袋帯も、まるで朝の湖のように静かです。
様々な色で織られていることに気がつかないほど控えめでさっぱりとした雰囲気を持っています。合わせた着物は東京友禅の作家さん、安達雅一さんのものです。